窓ガラスが熱割れするメカニズムとは?見分け方と要因について解説
「何かをぶつけた覚えもないのに窓ガラスにヒビが入っていた」という場合、ガラスが「熱割れ」を起こしたのかもしれません。
熱割れは、熱が原因となり自然にヒビが入ってしまう症状のことです。
この熱割れが発生する原因を知り、適切な予防策を講じておけば、熱割れを十分に防ぐことが可能です。
そこで今回の記事では、窓ガラスが熱割れするメカニズムと見分け方をはじめ、熱割れの要因や対策する方法などについて詳しく解説します。
目次
窓ガラスが熱割れするメカニズムと分け方
初めに、なぜ窓ガラスが熱割れを起こすのか、そのメカニズムと熱割れかどうかを見分けるポイントについて解説します。
窓ガラスの熱割れが起きるメカニズム
物をぶつけたわけでもないのに突然窓ガラスにヒビが入る熱割れは、ガラス表面の温度差が原因となって起こります。
窓ガラスで、特に直射日光が当たる部分は高温になって膨張しますが、日光が当たっていない部分は高温にならないため膨張することはありません。
熱で膨張したガラスは周囲から引っ張られている状態になります。このとき発生する力を「熱応力」といいますが、ガラスのエッジ強度を超える熱応力が発生するとガラスが極端に引っ張られることで、破壊が起こります。これが熱割れです。
熱割れかどうかを見分けるポイント
熱割れかどうかを見分けるポイントは、ヒビの入り方にあります。
基本的に、熱割れのヒビは窓ガラスの端から端へと垂直の状態で、1~2本のヒビが入っているのが特徴です。
一方、物をぶつけるなど物理的な力で割れた場合、ぶつかった点から放射状にヒビがたくさん入るという特徴があります。
こうした違いを知っておくことで、窓ガラスのヒビが熱割れによるものなのか、それとも物をぶつけたことによるものなのかを判断できるようになります。
窓ガラスが熱割れしやすい7つの要因
3,000度の高温でも燃えないガラスですが、コップに熱湯を注ぐと割れてしまうことがあるように、温度差には弱いため熱割れという現象が起こります。
では、窓ガラスが熱割れしやすい要因にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは7つの要因について解説します。
網入りガラス
ガラスの内部に網が入っている「網入りガラス」は、防火性が高いため防火地域で使われることが多い窓ガラスです。
しかし、ガラスの内部に金属製のワイヤーが入っているため、一般的なガラスより強度が低くなっています。
しかも、金属のワイヤーは熱を吸収しやすいという特徴があるため、日光が当たる場所では熱を吸収した金属ワイヤーとガラス内部との温度差が大きくなり、熱割れを起こしてしまうのです。
そのため、日光の当たる場所で網入りガラスを使用している方は、注意が必要です。
ガラスの種類
熱割れしやすいのは網入りガラスだけではありません。ほかにも熱割れしやすい種類があるのです。
例えばペアガラス(複層ガラス)の場合、空気層を挟んで外側と内側にガラスがあるため、外側のガラスが直射日光によって熱を吸収すると、内側のガラスと温度差が生じて熱割れを起こしてしまうことがあります。
また、割れにくく耐久性が高いと思われている厚みのある一枚ガラスも、ガラスの中心部分がサッシ部分との温度差を生じやすく、熱割れを起こしやすいといわれています。
さらに、直射日光をやわらげる効果のある熱線吸収ガラスも、ガラス内に使用されている金属が高温になりやすいため、熱割れを起こしやすいという弱点があります。
窓ガラスの経年劣化
ガラスそのものは劣化しにくいものの、屋外に面している窓ガラスは外の熱や冷気、雨風の影響を直接受けているため経年劣化します。
窓ガラスは10~15年ほどで目に見えない劣化が起きて耐久性が低くなるため、外側と内側で温度差が生じた際に熱割れを起こしやすくなります。
また、ホコリなどが付着することで小さな傷がつき、傷が増えるほど割れやすい状態になることも熱割れの要因です。
冬の晴れた午前中
熱割れは起こりやすい時期があり、それが冬の晴れた日、しかも午前中です。
夜は冷たい外気によって冷やされたサッシやエッジの温度が低くなり、午前中は直射日光の当たった部分が暖かくなることで温度差が大きくなります。
それにより、熱割れの原因となる熱応力が発生しやすいのです。
特に、日当たりの良い東向きや南向きの窓ガラスは、サッシやエッジとの温度差が大きくなり、熱割れしやすいため注意しましょう。
暖房器具を窓際に置く
冬になるとストーブやファンヒーターなど、床置きの暖房器具が活躍します。この場合、窓ガラスの近くに暖房器具を置くことで、外の冷気と室内の暖気がガラスに温度差を生じさせるため、熱割れしやすくなります。
ただし、熱割れは冬だけではなく、夏でも起こるため要注意です。
エアコンの冷たい風が窓ガラスに直接当たる場合、外の暑さを吸収したガラス面との間に温度差が生じるため熱割れを起こします。
また、室外機の熱い風が窓ガラスに当たる場合も温度差によって熱割れが起こるため、室外機の向きを変えるなどして注意してください。
窓ガラスにフィルムを貼る
現在は窓ガラス用の飛散防止フィルムや結露防止フィルムなど、さまざまなフィルムが販売されています。
しかし、こうしたフィルムを窓ガラスに貼ると、ガラスの内部に日光の熱などがこもりやすくなるため、熱割れを起こす要因となります。
特に、先述した網入りガラスは、内部のワイヤーが熱を持ちやすく割れやすいことに加え、フィルムによってもガラス内部に熱がこもるため、熱割れを起こす確率が高くなります。
こうしたことから、窓ガラス、特に網入りガラスにフィルムを貼ることはおすすめできません。
カーテンなどで熱がこもる
ほとんどのご家庭では窓際にカーテンやブラインドなどを設置していると思いますが、これも長期間締め切っていると熱割れの要因になります。
カーテンやブラインドを締め切った状態というのは熱の逃げ場がないため、窓ガラスとの間に熱がこもって高温になってしまうのです。
特に、厚手の遮光カーテンを使用している方は、注意したほうがよいでしょう。
また、窓ガラスの近くに家具などの物を置くことも、熱割れの要因になるので注意してください。
ここまで窓ガラスが熱割れしやすい要因7つについて解説してきましたが、共通しているのは「温度差」です。
窓ガラスの外側と内側、あるいはガラスの内部と表面に温度差があると熱割れしやすいということを覚えておくとよいでしょう。
窓ガラスの熱割れを対策する方法
窓ガラスをできるだけ長持ちさせられるように、熱割れを対策する方法について解説します。
温度差のできない環境にする
窓ガラスの熱割れを防ぐには、熱割れの要因となっているものを改善することが基本です。特に、前述した熱割れの要因7つのなかで共通していた「温度差」が生じないように、環境を整えていくことが大切です。
具体的には、次のような対策が有効です。
・窓ガラスの近くに暖房器具や物を置かない
・暖房や冷房の風を窓ガラスに当てない
・フィルムをはがす
・カーテンを閉めきらない
・カーテンを窓ガラスに密着させない
・熱を吸収する黒っぽい色のカーテンは避ける
また、直射日光が当たる日当たりのいい部屋には、すだれやサンシェードが効果的です。
ガラスの経年劣化を防ぐ
屋外に面している窓ガラスは日差しや雨風の影響を直接受けるため、経年劣化で耐久性が低くなります。
このような窓ガラスの経年劣化を防ぐには、汚れたらこまめに掃除することが効果的です。
なお、ガラスが経年劣化しているかどうかを見分けるポイントは、「ガラスのくもり」です。ガラスが劣化するとアルカリ成分が表面を覆うことによりくもってくるため、こまめに布で拭き取ってください。
汚れやすい窓ガラスはこまめに掃除をすることで経年劣化を防ぎ、熱割れ対策になります。
熱割れしにくいガラスに交換する
一般的に窓ガラスは10~15年で劣化するため、古いガラスを交換することも熱割れ対策になります。
窓ガラスを交換する際は、熱に強く熱割れしにくい耐熱強化ガラスや、弾力性のあるゴムパッキンのガラスに交換するのがおすすめです。
弾力性のあるゴムパッキンなら、熱を吸収したガラスが膨張してもサイズの変化に対応できるため、熱割れを防げます。
また、冬の温度差で熱割れしやすい東向きや南向きの窓ガラスには、熱割れしにくい耐熱強化ガラスがおすすめです。
窓ガラスが熱割れしたら修理・交換する!
もし、窓ガラスが熱割れしているのを発見したら、早めに修理や交換を依頼しましょう。「ヒビが入っただけだから」と放置していると、ヒビが増えたり、急に破損したりするため大変危険です。
なお、窓ガラスの熱割れにより修理や交換をする際は、火災保険が使えることがあるため、契約書を確認しましょう。
火災保険の補償のなかに、「破損・汚損」などの特約が付帯されている場合は、そのなかに「不足かつ突発的な事故による損害を補償する」という内容が含まれています。
熱割れは予測できなかった損害(事故)と認定される場合があり、その際は火災保険を使って修理・交換の費用を支払うことができます。
ただし、火災保険の「免責金額」には注意が必要です。
免責金額とは「損害の金額から差し引かれる自己負担金」のことで、保険会社によって異なるものの、1万円から20万円内で設定されています。
窓ガラスの修理・交換にかかった費用が免責金額を下回る場合には保険の対象外となってしまうため、保険申請をする際には要注意です。
この機会に火災保険の保証内容や、免責金額について確認しておくことをおすすめします。
ガラスの修理・交換を行なっている「ガラスお助け本舗」では、火災保険を使った修理・交換についてのご相談にも対応しております。
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まとめ
窓ガラスに突然ヒビが入る「熱割れ」は、表面の温度差によって引き起こされます。
そのため、熱割れを防ぐには網入りガラスやペアガラスを耐熱強化ガラスに交換したり、温度差ができないように環境を整えたりすることが効果的です。
もし熱割れを起こしたら、すぐに窓ガラスの修理・交換を業者に依頼しましょう。そのまま放置しているとヒビが増えたり、突然割れたりして危険です。
ガラスの修理・交換を依頼するなら、「ガラスお助け本舗」へご相談ください。
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