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樹脂サッシで後悔する4大ポイント!デメリットを把握して失敗を防ぐ

「樹脂サッシに交換したら思ったより高くついた」
「樹脂サッシは重くて扱いづらい」
「樹脂サッシにしたのに思ったより効果を実感できず後悔している」
そのような話を聞いたことはありませんか?

断熱性に優れ、省エネ効果が高いと評判の樹脂サッシ。
「光熱費の節約になるから」「結露しないから」といった理由で選ぶ人が増えてきていますが、中には「後悔した」「失敗した」という声もあります。

また、樹脂サッシには、オール樹脂サッシとアルミ樹脂複合サッシがあります。
この違いを理解せずにアルミ樹脂複合サッシを選んでしまうと、期待した効果が得られません。
(以降は、特に断りがない場合は、「樹脂サッシ」はオール樹脂サッシとして記載しています)

この記事では、樹脂サッシのメリット・デメリットを正確に解説し、後悔しないためのポイントなどを分かりやすくご案内していきます。

樹脂サッシで「後悔」「失敗」した4つのこととは?

樹脂サッシで後悔・失敗する4つのポイント

①思ったより価格が高かった
②重くて開閉しづらい
③変色した・変形した
④効果を実感できなかった

樹脂サッシを選んで後悔するケースは、主に以下の4つのパターンに分かれます。

①思ったより価格が高かった

樹脂サッシの価格はアルミサッシに比べ約2倍と高額なため、「予算をオーバーしてしまった」「思ったより高かった」という意見が見受けられます。
価格が高い理由として、日本での普及が進んでいないことなどがあげられます。

②重くて開閉しづらい

樹脂は本来的には丈夫な素材ではないため、樹脂サッシはを強度を確保するためにアルミサッシよりも重くなるように作られています。
このため、女性やお子様、ご高齢の方は、窓の開閉が重いと感じることが多いかもしれません。

③変色した・変形した

樹脂は紫外線に弱いため、直射日光に長期間当たることで色褪せて変色することがあります。
また、経年劣化により変形する可能性もあります。

④効果を実感できなかった

樹脂サッシは、住んでいる地域の特性や、住居の性能に応じて使わないと、思ったほどの効果が感じられないことがあります。
特に、リフォームの場合には既存の家屋の性能の改善を図らないと、樹脂サッシのメリットである、断熱性や気密性が十分に活かせない場合が多いです。

また、樹脂サッシは、オール樹脂サッシとアルミ樹脂複合サッシがあり結露耐性などに差があります。
樹脂サッシの違いを正確に把握せずに使用すると、「思ったより結露が出る」といったことになりかねません。

後悔しないために、樹脂サッシのメリットとデメリットを理解しよう!

樹脂サッシを採用する方は近年増えています。
理由は様々あると思いますが、樹脂サッシのメリットを実感している方が多いからだと考えられます。

後悔しないためには、事前に正しい理解をすることが一番大切です。ここからは、樹脂サッシの特徴、メリットとデメリットを解説していきます。

樹脂サッシとは

樹脂サッシとは、塩化ビニル樹脂製のサッシのことで、オール樹脂のものとアルミ樹脂複合のものがあります。
オール樹脂サッシは、その名のとおりサッシの全てが樹脂製ものです。
アルミ樹脂複合サッシは、外側はアルミ製、内側が樹脂製のもので、コストパフォーマンスに優れています。

樹脂サッシは、主に断熱性・気密性に優れており、ヨーロッパや北米、韓国での普及率は60%を超えています。
その歴史は古く、寒さの厳しいドイツで1950年代に開発されました。

日本では北海道や東北といった寒冷地で広く使用されており、北海道の普及率は約90%です。

代表的な樹脂サッシメーカーとその特徴

日本にはさまざまなサッシメーカーがありますが、樹脂サッシの代表的なメーカーは、YKK AP、LIXIL、エクセルシャノンの3社です。

企業名 特徴
YKK AP 日本のサッシメーカーで、高い断熱性と遮熱性にこだわった高性能な樹脂サッシを開発。代表的な製品はぺアガラスを使用した「APW330」シリーズ、トリプルガラスの「APW430」シリーズ。
LIXIL 総合住宅設備大手で、世界トップクラスの断熱性能とデザイン性に特化した樹脂サッシを取り揃えている。代表的な製品はペアガラスシリーズの「エルスターS」、トリプルガラスシリーズの「エルスターX」そして5枚ガラスの「レガリス」。
エクセルシャノン 1976年創業の樹脂サッシ専業メーカー。創業以来樹脂サッシにこだわり続け、高断熱高気密な「シャノン」シリーズを展開。

ペアガラスについては、「ペアガラスとは?」を、トリプルガラスについては「トリプルガラスの6つのデメリット」をご覧ください。

樹脂サッシの5つのメリット

樹脂冊子の5つのメリット

①断熱性が高い
②気密性が高い
③結露しにくい
④防音効果が高い
⑤デザインが豊富にある

【メリット①】断熱性が高い

サッシ(窓枠)の素材 U値 (W/㎡K)
アルミ 7.0
樹脂 1.3

U値(W/㎡K)とは、熱還流率(ねつかんりゅうりつ)のことで窓や壁などの部材がどれだけ熱を伝えやすいかを示す指標で、数値が低いほど断熱性能が高いことを表します。

上の表を見ると、アルミが7.0W/㎡K、樹脂が1.3W/㎡Kなので、樹脂の方が明らかに断熱性が高い傾向にあることがわかるでしょう。

窓の断熱性が高くなると、次のようなメリットがあります。

窓の断熱性が高くなることによるメリット

・外の冷気や暑さが室内に伝わりにくくなる
・室内の温度を一定に保ちやすくなる
・冷暖房の効率が上がり光熱費の節約になる

例えば、浴室の窓を樹脂サッシにすると、寒暖差を抑えられるため、ヒートショック(気温による血圧の乱高下)対策ができます。

【メリット②】気密性が高い

気密性とは隙間の少なさのことです。

屋外と屋内で空気の移動が少ないため、熱の移動が少ないことを「気密性が高い」と表現します。

樹脂サッシは気密性が高く、サッシの隙間から漏れる空気の量が少ないため、屋内の温度を保ちやすくなります。

【メリット③】結露しにくい

室内の気温と空気の触れるサッシの温度の差が大きいと、結露しやすくなります。
結露は壁紙にしみ出し、カビや建材の劣化に繋がります。

樹脂の熱伝導率はアルミの約1,000分の1、樹脂サッシは外気温の影響をあまり受けないため、樹脂サッシは結露対策として有効です。

【メリット④】防音効果が高い

樹脂サッシは気密性が高く、また、音の振動を伝えにくいため、防音効果が高いとされています。
樹脂サッシの防音効果の例は以下の通りです。

外部音のレベル 窓のタイプ 防音効果 減少後の音レベル
80dB(デシベル) 樹脂サッシ外窓 25dB 55dB
80dB 樹脂サッシ内窓 40dB 40dB

80dBは電車の通過音や大型トラックのエンジン音など非常に大きな音ですが、樹脂サッシ外窓で55dBまで下がり(人の声やテレビの音などのレベル)、樹脂サッシ内窓で40dBまで下がります(図書館内や寝室などのレベル)。

【メリット⑤】デザインが豊富にある

樹脂サッシはアルミサッシと比べて素材が加工がしやすいため、さまざまな形状にしたり、着色したりすることができます。
外観色と内観色をそれぞれ選んで組合せられる樹脂サッシの場合は、家の外観や室内のデザインに合わせてカスタマイズすることも可能です。

樹脂サッシで後悔・失敗しないために!4つのデメリットを解説

樹脂サッシの4つのデメリット

①価格が高い
②重い
③劣化しやすい
④防火地域などでは使用できない

【デメリット①】価格が高い

樹脂サッシの価格は、アルミサッシの約2倍です。
一例としてYKK-APの滑り出し窓(サイズW640×H570mm)で、樹脂サッシとアルミサッシの価格を比べてみると、次のようになります。

窓のタイプ   商品名 価格
樹脂サッシ 「APW330」 48,300円
アルミサッシ 「フレミングj」 22,800円

樹脂サッシは、国内の需要が少なく生産コストが高いことが価格が高い要因です。

家全体をアルミサッシ(オールアルミサッシ)にする場合と、オール樹脂サッシにする場合とでは、見積もりで数十万円の価格差が出ます。

【デメリット②】重い

  • 引違い窓(W1690×H1370mm)の重量

窓のタイプ 重量
樹脂サッシ(三層複層ガラス) 64kg
樹脂サッシ(複層ガラス)  52kg
アルミサッシ(複層ガラス) 40kg
アルミ樹脂複合サッシ(複層ガラス) 40kg

樹脂サッシの素材である塩化ビニル樹脂は、アルミニウム合金に比べて強度が劣ります。
そのため強度を確保するために厚くする必要がある分、樹脂サッシは重くなってしまいます。

さらに断熱性を高めるために複層ガラスを使う場合は、ガラスの重量も増えるため、より開閉時に重さを感じやすくなるでしょう。

【デメリット③】変色・変形しやすい

アルミは紫外線や気温の変化、雨、湿度などへの耐性が非常に高いため、家の寿命とほぼ同等といえます。

一方、樹脂サッシの素材の塩化ビニル樹脂は、アルミサッシに比べると紫外線による影響を受けやすく変色する傾向があります。
また、経年劣化により曲がるなど変形するケースもあり、アルミサッシほどの堅牢性はありません。

とはいえ、一般的な樹脂サッシの耐久年数は30〜50年程度といわれており、数年で劣化することはありません。

なお、近年、樹脂サッシのメーカーでは、色の劣化を防ぐためにサッシ表面に特殊なアクリルを塗膜(とまく)処理を行うなど、変化・劣化しないような工夫をしています。

あくまで腐食しづらいアルミに比べると劣化しやすいということで、神経質になるほどではないでしょう。

【デメリット④】防火地域などでは使用できない

  • ■防火地域又は準防火地域指定市町村(令和6年3月15日)

樹脂サッシはアルミサッシに比べて耐火性が低く、防火地域や準防火地域では、建築基準法により一般的な樹脂サッシは使うことができません。

お住まいの地域が防火地域や準防火地域に該当しているか確かめたい方は、市区町村役場の都市計画課や建築指導課の都市計画図で確認することができます。
簡単に調べたい方は、「お住いの地域名+防火地域(または準防火地域)」で検索するのが良いでしょう。

なお、防火地域や準防火地域でも、防火仕様の樹脂サッシなら設置できる可能性があるので、どうしても樹脂サッシを使いたい方は、サッシメーカーや施工会社に確認してみましょう。

樹脂サッシが向いている住宅・向いていない住宅

樹脂サッシにはメリットとデメリットがあるため、すべての住宅に適しているわけではありません。
住宅の立地条件や構造、リフォームの目的によって、向き・不向きが分かれます。

ここでは、樹脂サッシが力を発揮する住宅と、設置にあたり注意すべき点を解説します。

寒冷地・高気密高断熱住宅に最適

樹脂サッシが最も効果を発揮するのは、寒冷地です。
樹脂はアルミに比べて熱伝導率が非常に低く、外気温を室内に伝えにくいため、窓周辺からの冷気侵入を大幅に抑えることができるため、
寒冷地の冬場でも室温を暖かく快適に保ちやすく、さらに暖房費の節約にもつながります。

また、高気密高断熱性能を求める住宅設計において、樹脂サッシは欠かせません。
そもそも高気密高断熱住宅は、樹脂サッシと複層ガラスの採用を前提に設計されることがほとんどです。

防火地域・準防火地域では注意が必要

防火地域・準防火地域においては、防火戸仕様のサッシを選ばなければならず、一般的な樹脂サッシでは防火基準を満たさないため、使用することができません。
高気密高断熱設計の住宅を建てたくても、防火基準を満たしていないため希望の製品を使えないことがあります。

東京都のような住宅密集地は、防火地域や準防火地域に指定されているところが多いため、心配なときは市区町村役場の都市計画課や建築指導課の都市計画図で確認しましょう。

リフォームする場合の向き不向き

新築住宅であれば、最初から樹脂サッシに合わせた高気密高断熱設計ができるため、最大限の性能を引き出せます。
しかし、築年数が古い家をリフォームする場合には、樹脂サッシを使っても、もともとの家の気密性が低い、断熱性が低いなどの理由で、効果を実感できない場合があります。例えば、壁の断熱性能不足が原因で、断熱性能の高い樹脂サッシを使っても、家全体の断熱性を高めることができない場合などが考えられます。

リフォームで樹脂サッシの設置を希望する場合は、もともとの家屋の性能を考慮して検討してください。

アルミ樹脂複合サッシで十分?他のサッシとの比較

サッシの種類

・アルミサッシ
・アルミ樹脂複合サッシ
・オール樹脂サッシ
・木製サッシ

サッシは大きく4種類あります。

オール樹脂サッシ以外のサッシには、こちらのような特徴があります。

サッシの種類 特徴 価格比較
アルミサッシ 耐久性・メンテナンス性に優れているが、熱伝導率が高く冷暖房費が高くなる サッシの中で最も安い
アルミ樹脂複合サッシ 耐久性、メンテナンス性、断熱性をバランス良く備える 樹脂サッシより少し安い
木製サッシ 自然な見た目と優れた断熱性を持つが、高価でメンテナンスが必要 樹脂サッシの2~3倍の価格

日本では高度経済成長期以降アルミサッシが普及し、多くの住宅で利用されてきました。

近年ではアルミと樹脂を組み合わせた「アルミ樹脂複合サッシ」が主流です。

アルミ樹脂複合サッシは、屋外側に耐久性の高いアルミ、室内側に断熱性能高い樹脂を使った、それぞれの良い性能を取り入れたハイブリッドなサッシです。

室外側 室内側
耐久性の高いアルミ 断熱性能の高い樹脂

オール樹脂サッシとそれ以外のサッシを「断熱性能」「結露耐性」「価格」で比較すると、次のような違いがあります。

種類 断熱性能 結露耐性 価格
オール樹脂サッシ 高い
アルミサッシ × × 低い
アルミ樹脂複合サッシ 中くらい
木製サッシ 特に高い

アルミサッシは安価ですが、断熱性能が低く、結露しやすい欠点があります。
アルミ樹脂複合サッシは、性能と価格のバランスが良いものの、樹脂サッシに比べると断熱性能や結露耐性が劣っています。
木製サッシは、耐熱性や結露耐性が高い一方で、樹脂サッシの2~3倍の価格で非常に高価であり、カビや腐食のリスクがあるためメンテナンスの手間がかかります。

どこを妥協するか、何が譲れないのか、慎重に検討してください。

樹脂サッシの後悔・失敗についてのまとめ

このページのまとめ

・樹脂サッシにして後悔することは「高い」「重い」「変色・変形」「効果が実感できない」
・後悔をしないために樹脂サッシの特性を理解する
・寒冷地・高気密高断熱住宅に最適
・防火地域、準防火地域に該当する場合には樹脂サッシを使えない場合がある

後悔しないために!樹脂サッシ選びのQ&A

結局、樹脂サッシとアルミサッシどっちがいいの?

樹脂サッシとアルミサッシの選択は、断熱性と価格が主な違いです。樹脂サッシは断熱性が非常に高く、冷暖房費の節約や結露軽減に優れますが、価格は高めです。一方、アルミサッシは耐久性があり安価ですが、断熱性は劣り結露しやすい傾向があります。

選ぶ際のポイントは、断熱性能の重要度、予算、地域の気候、結露対策の必要性です。光熱費を抑えたい、寒冷地に住んでいる、結露に悩んでいる場合は樹脂サッシが有利です。一方、初期費用を抑えたい場合はアルミサッシが良いでしょう。ご自身の状況に合わせて検討しましょう。

メンテナンスや掃除は難しい?

樹脂サッシのメンテナンスや掃除は決して難しくありません。日常的なお手入れは、柔らかい布で軽く拭くだけで十分です。油汚れには薄めた中性洗剤を使用し、その後水拭きと乾拭きを。レール部分のゴミは定期的に掃除機で吸い取り、可動部には年に数回潤滑剤を塗布すると良いでしょう。

交換・修理は簡単にできる?

樹脂サッシの交換設置は、工務店などリフォーム工事に対応できる業者に依頼しなければできません。
修理に関しては、ガラス割れや部品破損などの比較的軽微なものはガラス業者が対応できます。

  • この記事を書いた人

ガラスお助け本舗編集部

ガラスお助け本舗編集部は、
生活トラブルにおけるガラスの情報を発信する専門チームです。

「ガラスのトラブルを解決したい」という強い思いのもと、
現場で得た知識や経験を活かし、
ガラスの専門家から寄せられた意見も参考にしながら、
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