窓ガラス修理・交換

ペアガラスとは?寿命や特徴・仕組み、メリットやデメリットを解説!

「ペアガラスって二重サッシとかトリプルガラスとどう違うの?」
「ペアガラスのメリットだけじゃなくて、デメリットや寿命も知っておきたい」
といった、ペアガラスに関する疑問をお持ちではないでしょうか?

ペアガラスは断熱性・遮熱性が高く、交換すると補助金がもらえるケースがあることから、近年既存のガラスをペアガラスに交換する方が増えています。

この記事では、ペアガラスの特徴や他のガラスとの違い、ペアガラスに交換するメリット・デメリットなどを分かりやすく解説するので、ガラス交換の参考にしてください。

ペアガラスとは?寿命や特徴・他のガラスとの違いを解説!

ペアガラスはAGCの登録商標で、断熱効果を高めることを目的として開発された複層ガラスのことを指します。

参考

ペアガラスの特徴・仕組み

ペアガラスの最大の特徴は断熱・遮熱性の高さで、一般的な住宅用のガラスと比べると約2倍の断熱効果があります。

断熱・遮熱性が高い仕組みは、2枚のガラスの間に水分の含まれていない「乾燥空気(※)」の層が設けて、熱の移動が少なくしているというものです。
中間層が真空になっている「真空ガラス」、ガスが入っている「アルゴンガス入りLow-E複層ガラス」などもあります。

断熱タイプと遮熱タイプの違いは次の通りです。

タイプ 適した場所 効果
断熱タイプ 寒冷地や日当たりの悪い窓 ・暖房効率の向上
・結露予防
遮熱タイプ 南向き・西向きの日当たりが良い窓 ・紫外線カット
・室内を適温にする

高い断熱・遮熱効果から、ペアガラス(複層ガラス)は住宅で導入されるようになり、現在の新築住宅の普及率は80%以上となっています。

築年数の古い住宅は冷暖房費が高額になりやすく、昨今は電気代やガス代などエネルギー価格が高騰しているため、既存のガラスからペアガラスなどの複層ガラスへの交換を検討される方が多くなっています。

ペアガラス(複層ガラス)に寿命はあるのか?

ガラス自体は経年劣化せず半永久的に使用できますが、雨や気温、紫外線などの自然環境、窓枠・パッキンの劣化により、ペアガラスを含む複層ガラスは性能が低下します。
そのため、ペアガラス寿命の目安は約10年~15年程度といわれています。

劣化や機能低下の具体的な症状としては、
・ペアガラス(複層ガラス)の中が曇るようになる
・断熱性能が下がり結露が出るようになる
といったものがあります。

このような症状が出たら、ペアガラスの交換を検討しましょう。

普通のガラスとペアガラスの見分け方

普通のガラスとペアガラスの違いは、ガラスの間に空間があることです。
ペアガラスの場合、中間層の厚みは6mm~12mm、ガラスが差し込まれている窓枠を見ると2枚あることが確認できます。

ただし、外からパッと見ただけでは見分けは付きません。
ガラスが2枚合わさっているから、分厚いガラスを想像される方がいますが、近年のペアガラスは既存のガラスとの外観の差はほとんどありません。

ペアガラスとトリプルガラスとの違い

1つの窓枠に3枚のガラスがはめ込まれているガラスで、一枚ガラスの4倍~6倍の断熱性があります。
上記の図は、AGC社の「サンバランス トリプルガラス」という製品で、Low-Eガラスを2枚、一般的なガラスを1枚使用し、中間層にアルゴンガスが充填されている高機能のトリプルガラスです。

ペアガラスは2枚のガラスが、トリプルガラスのガラスは3枚が使用されているものと理解してもらって差し支えありません。

ペアガラスと二重サッシとの違い

二重サッシとは?

ペアガラス(複層ガラス)は、1つのサッシに2枚のガラスが組み合わさったものが設置されます。

一方、二重サッシとは、言葉のとおり、サッシが2つある窓のことです。
簡易的なリフォームで、すでに設置されている窓の内側に、追加で設置することもできます。
「内窓」「二重窓」「インナーサッシ」とも呼ばれます。

二重サッシを設置すると得られる効果は次の通りです。

・断熱効果
・遮音(防音)効果

断熱性能はペアガラスと同じ効果が期待できますが、遮音(防音)効果はペ二重サッシに優位性があります。

ペアガラス(複層ガラス)と二重サッシとの違いは、サッシの数の違いです。
それぞれの交換にかかる費用の相場は以下のとおりです。

内 容 費 用(900mmx900mm)
二重窓へのリフォーム 30,000円~150,000円+税
ペアガラスへの交換 26,000円~+税

スッキリとした外観が良ければペアガラス、防音効果も期待するのであれば二重サッシという点が、一つの判断基準になります。

ペアガラスの「5つのメリット」を解説!

ペアガラスの5つのメリット

①断熱性が高い(遮熱効果)
②光熱費の節約になる(省エネ効果)
③結露を防止できる
④多様な機能を持った製品がある(防音、防犯、紫外線カット)
⑤見た目や使い勝手が一般的なガラスと遜色ない

それぞれ分かりやすくご案内します。

①断熱性・遮熱性が高い

ペアガラスのメリット1つ目は断熱性・遮熱性が高いことです。

ペアガラスは2枚のガラスに空間があることにより、高い断熱性や遮熱性を持っています。

熱は温度の高いほうから低いほうへ移動する性質を持っており、夏は窓ガラスの外側の寒さが、冬は室内側の熱が移動しやすいため、部屋の温度が安定しないことがあります。
一方で、ペアガラスの場合、中間層によって熱が移動しづらいため、防暑・防寒に効果的なのです。

②光熱費の節約になる(省エネ効果)

ペアガラスのメリット2つ目は光熱費の節約になることです。

「①断熱性・遮熱性が高い」ことの副次的なメリットではありますが、夏場・冬場の外気の影響を防ぎ、室内の冷暖房の効果を保ってくれます。
このため、省エネ効果を期待できます。

板硝子協会には、エコガラス省エネシミュレーションという無料のサービスがあります。
年間で数千円~数万円の節約につながることがシュミレーションできるので、一度チェックしてみてください。

③結露を防止できる

ペアガラスのメリット3つ目は結露を防止できることです。

窓ガラスが結露は、ガラスで空気中の水蒸気が冷やされて水滴となる、というメカニズムで発生します。
ペアガラスは室内の温かさと外気の冷たさを通しづらいため、温度差が少なく結露しにくい特性があります。

結露はカビや建材の腐食の原因となるため、防止することで家を傷めずに長持ちさせることに繋がります。

結露による家のダメージ

・サッシ周りのパッキンやフレーム部分にカビが発生しやすくなる
・木でできた部分が多い家の場合は、結露が原因で腐ってしまうことがある

④多様な機能を持った製品がある(防音、防犯、紫外線カット)

シンプルなペアガラス(複層ガラス)は、防音、防犯、紫外線カット等の機能はありません。

しかし、フィルムや合わせガラスを採用することにより、様々なニーズに対応する高機能なラインナップを揃えています。

近年、新築の住宅で設置されることが多い複層ガラスは、「Low-e複層ガラス」です。
これは、Low-E金属膜でコーティングしたガラスを採用し、紫外線をカットする性能がある複層ガラスになります。
紫外線には以下のようなマイナスの影響があるため、居住者の興味も強く、新築住宅への採用が進んでいます。

紫外線によるマイナスの影響

・フローリングや家具などの劣化速度が速くなる
・日射熱によって室温が上昇する
・顔のシミやシワの原因になる

「Low-E複層ガラス」は太陽光の明るさを損なうことなく、有害な紫外線だけをカットできるため、交換を希望する方にも人気の商品です。

なお、既存の窓ガラスをペアガラス(複層ガラス)に交換する際は、サッシごと交換しなければならないことがあります。
ペアガラス(複層ガラス)のサッシは、一般的な一枚ガラスのものより、幅が広い作りになっているためです。

ガラスの専門業者にペアガラス(複層ガラス)への交換を相談する場合は、一般的なガラスとの違いを熟知しているところに依頼しましょう。

ペアガラスの「3つのデメリット」を解説!

ペアガラスの3つのデメリット

①価格が高い
②サッシの結露は防げない
③防犯、防音性能は二重サッシのほうが高い

ペアガラスの3つのデメリットについてご案内していきます。

①価格が高い

ペアガラスのデメリット1つ目はなんといっても、価格が高いことです。

以下のように、ペアガラス(複層ガラス)は通常のガラスの2.5倍以上の価格になります。

ガラスの種類 価格(900mmx900mm)
通常のガラス(単板ガラス) 10,000円~+税
ペアガラス(Low-e複層ガラス) 26,000円~+税

ペアガラス(複層ガラス)の価格が高い理由は次の通りです。

価格が高い3つの理由

①2枚分のガラス代がかかる
②複層ガラス用のサッシが必要
③空気層の特殊な加工にコストがかかる

②サッシの結露は防げない

ペアガラスのデメリット2つ目は、サッシの結露は防げないことです。

ペアガラス(複層ガラス)そのものは結露しづらい性質ですが、アルミサッシの場合は窓枠の結露は防げません。

サッシ部分がアルミ製の場合、外気温の影響をダイレクトに受けるため、暑さ・寒さの影響を受けやすいという特徴があります。
窓全体の結露防止をしたいのであれば、外気温の影響を受けにくい樹脂製のサッシへの交換を検討するべきです。

なお、ごくまれにですが、ペアガラス(複層ガラス)のコーキング材の劣化によって、中間層に内部結露ができる場合があります。

③防犯、防音性能は二重サッシのほうが高い

ペアガラスのデメリット3つ目は、二重サッシを比べて防犯、防音性能が低いことです。

一見、ペアガラス(複層ガラス)は2枚のガラスが使われているため、防音性能が高いように見えますが、一般的な製品では防音効果の期待はできません。
また、外部からの衝撃にも強くないため、基本的に防犯効果がないことも注意が必要です。

防犯性や防音性がお望みの場合は、防犯ペアガラス、防音ペアガラスを選ばなければなりません。
価格は標準的なペアガラスより高額になることは念頭に置きましょう。

ガラスの種類 価格(900mmx900mm)
通常のガラス(単板ガラス) 10,000円~+税
ペアガラス(Low-e複層ガラス) 26,000円~+税
防犯ペアガラス 43,000円~+税
防音ペアガラス 46,000円~+税

ペアガラスに交換する料金相場

ペアガラス(複層ガラス)への交換を、ガラスの専門業者に依頼する場合にかかる料金は、ガラス代金+4,000円~+税が相場です。

今は、ECサイトで好みのペアガラス(複層ガラス)自分で購入することもできるため、DIYでの交換を検討される方もいるでしょう。

ただ、一般的な単板ガラスからの交換は、サッシの交換もしなければならないため難易度が高く、
何より、失敗してガラスが割れ、ケガをすることもあるため、よほどDIYに自信がある方以外は、プロに依頼するほうが無難です。

プロに依頼するときの注意点

実際にペアガラスに交換する場合に、プロに正確に希望を伝えなければいけません。
また、安心して依頼できるよう、見積り提示の際の注意点を解説します。

ペアガラスの交換工事の注意点

①ペアガラスへ交換する必要性を整理する

②ガラスのサイズや種類を測る

③業者依頼の選び方と注意点

①ペアガラスへ交換する必要性を整理する

まず、ペアガラス(複層ガラス)への交換が本当に必要なのか、冷静に整理しましょう。

断熱性・遮熱性を高めたい場合、また、外観を従来と大きく変えたくない場合には、ペアガラス(複層ガラス)への交換はとても良い選択だといえます。

一方で、結露防止効果を狙いたい場合、既存のサッシがアルミサッシか樹脂サッシかによって変わります。
既存のサッシがアルミサッシの場合、サッシ部分の結露は改善しないため、注意が必要です。

さらに、防音効果、防犯効果を期待する場合も、一般的な複層ガラスでは、十分な性能を有していないため、予算設定に気をつけなければいけません。
十分な防音、防犯の効果を求めるのであれば、防音ペアガラス、防犯ペアガラスを選択するべきなので、一般的なペアガラスの倍近い費用になるでしょう。

「何が目的なのか」ということを明確にした上でプロに相談すると、幅広い選択肢を提案してくれるはずです。

②現在の窓の状態を確認する

現在取り付けられている窓の構造や状態を確認しましょう。

確認するポイントは、以下のとおりです。
・今設置されている窓ガラスが、単板ガラスか複層ガラスか
・サッシがアルミ製か樹脂製
・サッシの歪みや、パッキンの劣化はないか
これらを把握することで、ペアガラス(複層ガラス)への交換が可能かどうかが分かってきます。

単板ガラスから複層ガラスへの交換、アルミサッシから樹脂製サッシへの交換を希望する場合は、通常より作業費用が高くなるため、必ず事前に業者に伝えましょう。

③業者依頼の選び方と注意点

ガラスの専門業者に依頼すれば、プロの技術で早く、正確かつ安全に設置してもらえるため、安心感があります。

ただ、依頼する際に、
・作業前に見積りを提示してくれるか
・提示された見積りは「作業一式」ではなく細目が記載されているか
という点は確認したほうが良いでしょう。

一定数、相場を超える請求をする悪徳業者がいるため、被害に合わないために気をつけましょう。

ペアガラスについてのまとめ

まとめ

・ペアガラスはAGC社が商標登録をしている複層ガラスのことを指す
・断熱効果が高く最近の新築住宅では主流の窓ガラス
・単板ガラスからペアガラス(複層ガラス)への交換はサッシの交換も必要
・DIYでの交換作業は難易度が高いため、自信がない場合はプロに相談する

ペアガラスはAGCの登録商標で、複層ガラスの一種です。
ペアガラス(複層ガラス)は、最近の新築住宅では主流の窓ガラスで、断熱性能が高いため、自宅の窓ガラスをペアガラスに交換する人が増えています。

ただし、既存のガラスが単板ガラスの住居の場合は、サッシの交換も必要になるため、業者に対応可能か事前に確認しましょう。
ペアガラス(複層ガラス)のサッシは、幅が広い、専用のサッシでないと設置できません。

また、DIYでの交換は難しいため、専門業者に依頼する方がスムーズでしょう。

よくある質問(Q&A)

ペアガラス(複層ガラス)は結露しないの?

ペアガラス(複層ガラス)は、2枚のガラスの間に空気層やアルゴンガスなどを挟むことで、外気温の影響を受けにくくし、室内と外気の温度差による結露の発生を抑えることができます。

そのため、ペアガラス(複層ガラス)は結露しにくいことが特徴です。
ただし、アルミサッシは結露しやすいため、窓全体での結露対策をしたい方は、樹脂サッシへの交換を検討しましょう。

ペアガラスの防犯性は高いの?

一般的なペアガラス(複層ガラス)は、防犯効果はありません。
防犯性能を高めたい場合には、防犯ペアガラスへの交換や、二重窓へのリフォームを検討しましょう。

  • この記事を書いた人

ガラスお助け本舗編集部

ガラスお助け本舗編集部は、
生活トラブルにおけるガラスの情報を発信する専門チームです。

「ガラスのトラブルを解決したい」という強い思いのもと、
現場で得た知識や経験を活かし、
ガラスの専門家から寄せられた意見も参考にしながら、
読者の皆様にとって本当に役立つコンテンツを目指します。

-窓ガラス修理・交換
-, , ,