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トリプルガラス(サッシ)の6つのデメリットとは?結露や寿命を解説

「トリプルガラスが気になっている。価格が高い以外のデメリットを知りたい」
「トリプルサッシでも結露するの?寿命は?」

などを考えていませんか?

「断熱効果バツグン!」「電気代を節約できる!」などメリットを目にするトリプルガラス(サッシ)ですが、デメリットもあります。

設置後に後悔することがないように、事前に寿命の長さや結露の有無、交換費用をチェックしておくと安心です。

トリプルガラス(サッシ)とは?そのメリット・デメリット

トリプルガラス(サッシ)に交換する前に、まずはトリプルガラスについて把握しておくことをおすすめします。

トリプルガラスとは?

「トリプルサッシ」「三重サッシ」「三重ガラス」などとも呼ばれるトリプルガラスは、次のようなガラスです。

トリプルガラスの理解を早める3つのポイント

①通常のガラスの約4~6倍の断熱性がある
②3枚のガラスの間にある2つの層(空間)に気体を入れている
③気体は空気、クリプトンガス、アルゴンガスの3種類
※1層が真空の真空トリプルガラスもある

トリプルガラスは3枚のガラスで構成されており、断熱性に優れていることから、北海道や東北、北陸といった積雪期間が長く、年平均気温が低い寒冷地で使用されています。

使用されるガラスは、一般的なフロートガラスに加えて、断熱性能の高いLow-E(ローイー)ガラスが採用されるケースも少なくありません。

ガラスとガラスの間の層には、空気や断熱効果のあるガス(クリンプトンガス・アルゴンガス)を充填することが一般的ですが、1層を真空にした製品も存在しています。

断熱性能の高さは、①真空 > ②クリンプトンガス > ③アルゴンガス > ④空気 の順です。

代表的なメーカーのトリプルガラス(サッシ)は次の通りです。

・代表的なメーカーのトリプルガラス(サッシ)

メーカー 商品名 厚さ
(ガラス+中間層+ガラス+中間層+ガラス)
YKK ap APW 430 ・41mm
LIXIL エルスターX ・33.3mm(クリプトンガス)
・37.3mm(アルゴンガス)
ハイブリッド窓TW ・27.3mm(クリプトンガス)
・35.3mm(アルゴンガス)
エクセルシャノン トリプルシャノンⅡx ・39mm
三協アルミ トリプルスマージュⅡ ・33.3mm(クリプトンガス)
・37.3mm(アルゴンガス)

ガラスをLow-Eガラスにしたり、層を真空にしたりすると断熱効果は高まりますが、断熱性を高めれば高めるほど価格は高くなってしまいます。

ただ、断熱窓にするともらえる補助金もあるので、検討してみてください。

トリプルガラスの5つのメリット

トリプルガラス(サッシ)の5つのメリット

①断熱性が高い(寒さや暑さの解消)
②省エネできる(夏・冬)
③結露が発生しにくい
④防音効果がある
⑤補助金がある

一番のメリットは断熱性が高いことです。

トリプルガラスの断熱効果を「熱貫流率(熱の通しにくさ)」でみると、通常のガラスの約6倍、ペアガラス(複層ガラス)の約1.5~3倍あります。

・ガラスの熱貫流率の比較

ガラス 熱貫流率
普通のガラス 5.7~6.0W/㎡・K
ペアガラス 1.4~3.4W/㎡・K
トリプルガラス 0.9~1.13W/㎡・K

熱貫流率が低ければ低いほど断熱性が高い

冬の寒さだけでなく夏の暑さも防ぐため、エアコン代を節約できます。

冬の寒さが厳しい地域で、単版ガラスからトリプルガラスに換えると、下記のように年間で冷暖房費が節約できる可能性があります。

249,940円(単版ガラス) - 146,828円(トリプルガラス) = 103,112円(年間の暖冷房費の差額)

暖冷房費はこちらのエコガラス省エネシミュレーションで簡単に算出できますので利用してみてください。

この他、外気との温度差が生じにくいので結露しにくい防音性が等級2~3といったメリットがあります。

防音ガラスの値段や相場については、「防音ガラスの値段や交換料金の相場」をご覧ください。

トリプルガラスの6つのデメリット(後悔しないためにチェック!)

トリプルガラス(サッシ)の6つのデメリット

①ガラスの価格が高い
②交換費用が高い
③結露することがある
④寿命が短い
⑤重い
⑥防犯性は無い

「交換して失敗した」と後悔しないために、デメリットについても詳しくご案内していきます。

【デメリット①】ガラスの価格が高い

単板ガラスや複層ガラスに比べると、ガラスが三重で構造が複雑なため、価格は高めです。

ガラスだけを購入すると次のような金額になります。

ガラスの種類 金額(90㎝ x 180cm)
フロートガラス 1万~2.5万円
ペアガラス 1.5万~8万円
トリプルガラス 5万円~10万円

付加する機能によってガラスの価格は高くなる

フロートガラス(普通のガラス)の約5倍~、ペアガラスの約3倍~も金額に違いがあります。

断熱するならトリプルガラスの方が適していますが、全ての窓を換えると相応の費用がかかってしまいます。

ペアガラスと使い分けたり、補助金の利用を検討することも視野に入れましょう。

ペアガラスの値段は「ペアガラスの料金表(目安)」」も参照してください。

【デメリット②】交換に費用がかかる

単板ガラスからトリプルガラス(サッシ)に交換をする場合、厚みが増すため、既存の窓枠やサッシは使用できません。

トリプルサッシはDIYで交換することは困難なため、プロの業者に依頼することになります。

ただし、住んでいる地域の冬の寒さが-5℃度程度の場所なら、「高い費用をかけた割に、それほど節電効果を感じなかった」「ペアガラスにしておけばよかった」と後悔するかもしれません。

トリプルサッシが必要かどうかは、事前にガラス交換業者に相談をしてみてください。

【デメリット③】結露することがある

トリプルガラスは結露しにくいものの、絶対にしないわけではありません。

車のガラスが結露するように外部結露をすることがあり、カーテンや家具の配置などが原因でトリプルガラスが冷えると、室内でも結露をすることがあります。

厄介なのはガラスとガラスの間の層が結露する内部結露です。

内部結露は、パッキンやサッシを通じて中に入りこんだ水分が太陽の光で温まり、水蒸気となってガラスとガラスの層に入り込むことで起こります。

内部結露が起こってしまった場合は、ガラスを交換するしかありません。

窓ガラスの結露のメカニズムや原因についてはこちらをご覧ください。

【デメリット④】寿命が短い

トリプルガラス(サッシ)の寿命は10~30年といわれています。

国内ではYKKapのトリプルガラス「APW 430」が2014年に登場したばかりですが、AGC(旭硝子)の複層ガラス「サンバランス」は1993年に登場しています。

その劣化具合から、次のような影響を受けると考えられます。

トリプルガラスの寿命に影響を与える要素

・パッキンの劣化
・ガスの抜け
・雨水
・紫外線
・施工の内容
・使用状況
・ガラス自体の重さ
・自然災害によるダメージ

窓のパッキンの寿命は10年程度で、気密性の劣化が始まります。

この他、サッシの使い方、ガラスの重み、地震などによるサッシや窓枠への負荷によって、フレームが歪むなどのダメージを受けることがあります。

ガラスの間が結露してしまったり、カビの発生、場合によっては隙間風や雨漏りが起きると交換する必要があります。

メーカー保証は10年間なので、寿命が来て交換する場合は全額自己負担となる可能性が高いことも想定しておきましょう。

【デメリット⑤】重い

使用しているガラスの枚数が多い分、単板ガラスや複層ガラスよりも重たいというデメリットがあります。

仮に、高さ900㎜、横幅1800㎜、3枚の厚みが計9㎜の場合は、ガラスだけで約38kgほどになります。

ガラスの重さの計算式

ガラス重量(kg) = 高さ(m) x 横幅(m) x 厚み(㎜) x 2.5(ガラスの比重)

比重とは水と同じ体積と比べた場合の重さ(=ガラスは水より2.5倍重いということ)

窓枠はスムーズに動きますが、高齢化して体力が衰えると窓の開け閉めが大変に感じてしまうかもしれません。

【デメリット⑥】防犯性は無い

通常のトリプルガラスに使われているガラスは普通のガラスであり、割るのに時間がかかっても防犯性はありません。

ただ、使うガラスを防犯ガラスにすることで、防犯機能をプラスすることができます。

某半ガラスの値段については「防犯ガラスの値段と交換費用相場」を参考にしてください。

トリプルガラス(サッシ)の交換費用を徹底解説

トリプルガラスに交換する方法と費用は次の通りです。

方法 費用感

サッシ購入(DIY)

5万~26万円

ガラスの交換(プロに依頼)

ガラス・サッシ代+工賃(2.5万円~6万円)

リフォーム

25万円~

それぞれご案内していきます。

サッシを購入してDIYで交換する場合の費用

樹脂サッシも込みの価格は次の通りです。

メーカー

大きさなど

価格(サッシ込)

リクシル 寸法(W1540 x H1870mm x T37.3mm)
アルゴンガス
14万円前後
寸法(W1540 x H1870mm x T33.3mm)
クリプトンガス)
17万円前後
三協アルミ 寸法(W2070 x H2000mm x T37.3mm)
アルゴンガス
20万円前後
寸法(W2070 x H2000mm x T33.3mm)
クリプトンガス
26万円前後
エクセルシャノン 寸法(W1650 x H2000mm x T39mm)
アルゴンガス
18万円前後

トリプルガラスの取り付けは難易度が高いため、業者レベルの経験がある人でない限り、DIYは避けてください。

こちらの「APW430」というメジャーな三重サッシの施工説明書で、DIY難易度の高さを把握できます。

また、単板ガラスやペアガラスから交換する場合、窓周辺からリフォームしなければなりません。

トリプルガラスへの交換をプロに依頼した場合の費用相場

交換方法 費用(90㎝ x 180cm)
ガラス交換 7万円~16.5万円
サッシ交換 16万円~32.5万円

費用はガラス交換もしくはサッシ交換で価格は異なり、工賃だけなら相場は2.5万円~6万円です。

追加で次のような費用が掛かる場合があるので注意が必要です。

発生する可能性のある追加料金

・重量施工費
・夜間・早朝料金
・追加作業員費
・部材費
 など

ガラス交換の際は、悪質業者に騙されないよう、次のような対策をしてください。

悪質業者に騙されないための対策

・必ず数社のガラス交換業者から見積りを取る
・追加料金についての事前確認
・支払い方法の豊富さの確認
・見積り内容への分かりやすい説明の有無

作業後に追加料金を伝えくるような悪質な業者がいるため、事前に料金体系について確認しておきましょう。

トリプルガラスへのリフォーム

窓周り全体(サッシや壁など)のリフォーム工事の費用は25万~60万円です。

交換は窓周りの工事が必要なため費用は高額になる傾向が見られます。

ガラスの大きさや設置場所によって費用は大きく変わるため、数社のリフォーム会社から見積りを取るようにしてください。

トリプルガラスの費用対効果を算出する3つのカギ

トリプルガラス(サッシ)への交換は、寒さが厳しい地域であれば、節電・節約の効果は高いと言える一方で、トリプルガラスの交換費用は高いため、「費用対効果を把握しておきたい」という方もいるのではないでしょうか。

費用対効果を計算するには次の3つのポイントを押さえておきましょう。

トリプルガラスの費用対効果を算出する3つのポイント

①交換費用の相場を知る
②補助金を利用できるかどうかを知る
③省エネ効果を知る

交換費用の見積もりは複数の業者から取理、比較することが重要です。

「どれぐらい省エネできるか」は事前にシミュレーションができますので、こちらのツールを利用してください。

トリプルガラスの費用対効果の計算例

複数の業者から見積もりを取ったところ、トリプルガラスへの交換の総額は約120万円だった。補助金を利用するので、支払金額は2/3の約80万円になる。

暖冷房費をシミュレーションしたところ、トリプルガラスに交換した場合、年間5万円節約できるようなので、おおよそ16年で回収できることが分かった。

冬の寒さが厳しい地域の場合は費用対効果は良いですが、-5℃程度の寒さの地域の場合は、ペアガラスでも断熱対策は十分かもしれません。

現在が普通の1枚のガラス(単板ガラス)の場合は、ペアガラスに交換した場合の見積もりも取り、費用対効果を比較してみてください。

トリプルガラスのデメリットや寿命・結露に関するまとめ

このページのまとめ

・トリプルガラスに交換する前に6つのデメリットを把握する
・価格が高い、寿命は10~30年、結露するというデメリットがある
・交換する場合は複数の業者から見積もりを取って比較する

トリプルガラスには4つのメリットと6つのデメリットがあります。

価格は高く、結露や寿命といった事前に考慮すべき点は多いものの、寒さが厳しい地域の場合は検討する価値があります。

交換する場合は、必ず複数の業者から見積もりを取って比較をしてください。

  • この記事を書いた人

ガラスお助け本舗編集部

ガラスお助け本舗編集部は、
生活トラブルにおけるガラスの情報を発信する専門チームです。

「ガラスのトラブルを解決したい」という強い思いのもと、
現場で得た知識や経験を活かし、
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