ガラスお助けコンテンツ

トリプルガラス(サッシ)の4つのデメリットとは?結露や寿命を解説

「トリプルガラスが気になっている。価格が高い以外のデメリットを知りたい」
「トリプルサッシでも結露するの?寿命は?」

などを考えていませんか?

「断熱効果バツグン!」「電気代を節約できる!」などメリットを目にするトリプルガラス(サッシ)ですが、デメリットもあります。

設置後に後悔することがないように、事前に寿命の長さや結露の有無、交換費用をチェックしておくと安心です。

トリプルガラス(トリプルサッシ)とは

「トリプルサッシ」「三重サッシ」「三重ガラス」などとも呼ばれるトリプルガラス、次のような特徴があります。

トリプルガラスの理解を早める3つのポイント

①通常のガラスの約4~6倍の断熱性がある
②3枚のガラスの間にある2つの層(空間)に気体を入れている
③気体は空気、クリプトンガス、アルゴンガスの3種類
※1層が真空の真空トリプルガラスもある

トリプルガラスは3枚のガラスで構成されており、断熱性に優れていることから、北海道や東北、北陸といった積雪期間が長く、年平均気温が低い寒冷地で使用されています。

使用されるガラスは、一般的なフロートガラスに加えて、断熱性能の高いLow-E(ローイー)ガラスが採用されるケースもあります。

ガラスとガラスの間の層には、空気や断熱効果のあるガス(クリンプトンガス・アルゴンガス)を充填することが一般的ですが、1層を真空にしたAPW330のような製品も出ています。

断熱性能の高さは、①真空 > ②クリンプトンガス > ③アルゴンガス > ④空気 の順です。

代表的なメーカーのトリプルガラス(サッシ)は次の通りです。

代表的なメーカーのトリプルガラス(サッシ)

メーカー 商品名 厚さ
(ガラス+中間層+ガラス+中間層+ガラス)
YKK ap APW 430 ・41mm
LIXIL エルスターX ・33.3mm(クリプトンガス)
・37.3mm(アルゴンガス)
ハイブリッド窓TW ・27.3mm(クリプトンガス)
・35.3mm(アルゴンガス)
エクセルシャノン トリプルシャノンⅡx ・39mm
三協アルミ トリプルスマージュⅡ ・33.3mm(クリプトンガス)
・37.3mm(アルゴンガス)

ガラスをLow-Eガラスにしたり、層を真空にしたりすると断熱効果は高まりますが、断熱性を高めれば高めるほど価格は高くなってしまいます。

断熱窓にするともらえる補助金もあるので、検討してみてください。
先進的窓リノベ事業

トリプルガラスの4つのデメリット(後悔しないためにチェック!)

トリプルガラス(サッシ)の4つのデメリット

①ガラスの価格が高い
②内部結露を起こすことがある
③寿命が短い
④重い

「交換して失敗した」と後悔しないために、まずはデメリットについて詳しくご案内していきます。

【デメリット①】ガラスの価格が高い

単板ガラスや複層ガラスに比べると、ガラスが三重で構造が複雑なため、価格は高めです。

ガラスだけの購入代金は次のとおりです。

ガラスの種類 金額(90㎝ x 180cm)
フロートガラス 1万~2.5万円
ペアガラス 1.5万~8万円
トリプルガラス 5万円~10万円

付加する機能によってガラスの価格は高くなる

フロートガラス(普通のガラス)の約5倍~、ペアガラスの約3倍~も金額に違いがあります。

断熱性能が高いトリプルガラスですが、全ての窓を換えるとかなりの費用がかかってしまいます。

場所によってペアガラスと使い分けたり、補助金の利用を検討することも視野に入れましょう。

ペアガラスの値段は「ペアガラスの料金表(目安)」」も参照してください。

【デメリット②】内部結露を起こすことがある

トリプルガラスは結露しにくいものの、絶対にしないというわけではありません。

車のガラスが結露するように外部結露をすることがあり、カーテンや家具の配置などが原因でトリプルガラスが冷えると、室内でも結露をすることが当然あります。

しかし、厄介なのはガラスとガラスの間の層が結露する内部結露です。

内部結露は、パッキンやサッシを通じて中に入りこんだ水分が太陽の光で温まり、水蒸気となってガラスとガラスの層に入り込むことで起こります。

内部結露が起こってしまった場合は、ガラスを交換するしかありません。

窓ガラスの結露のメカニズムや原因についてはこちらをご覧ください。

【デメリット③】寿命がある

トリプルガラス(トリプルサッシ)は高い断熱性能を誇りますが、寿命があります。

永続的な効果は期待できないので、その点は念頭に置いた方が良いでしょう。

トリプルガラスの寿命は10~30年といわれ、次のような要素が影響します。

トリプルガラスの寿命に影響を与える要素

・パッキンの劣化
・ガスの抜け
・紫外線や雨
・自然災害によるダメージ

窓のパッキンの寿命は10年程度で劣化が始まります。

窓のパッキンが劣化すると、支えているガラスへのダメージが蓄積し、中間層のガスが抜けやすくなることがあります。

また、通常使用でも、ガラスは長い年月をかけて抜けていき、年々断熱性能は低下していきます。

さらに、紫外線や雨風などの影響を受けるため、ガラス自体の劣化も徐々に進んでいきます。

地震などの自然災害があった場合には、サッシ、フレームが歪み、ガラスへの負荷がかかることがあります。隙間から水分が入り、内部結露すると交換するしかありません。

ただ、メーカー保証は一般的には10年間なので、その間の通常使用の範囲内の不具合は交換となるケースがあります。

【デメリット④】重い

使用しているガラスの枚数が多い分、単板ガラスや複層ガラスよりも重たいというデメリットがあります。

仮に、高さ900㎜、横幅1800㎜、3枚の厚みが計9㎜の場合は、ガラスだけで約38kgほどになります。

ガラスの重さの計算式

ガラス重量(kg) = 高さ(m) x 横幅(m) x 厚み(㎜) x 2.5(ガラスの比重)

比重とは水と同じ体積と比べた場合の重さ(=ガラスは水より2.5倍重いということ)

高齢者、小さいお子様がいるご家庭は、窓の開け閉めが大変に感じてしまうかもしれません。

トリプルガラスの4つのメリット

トリプルガラスの4つのメリット

①断熱性が高い(寒さや暑さの解消)
②冷暖房効率が上がる(省エネ)
③結露が発生しにくい
④防音効果がある

①断熱性が高い(寒さや暑さの解消)

一番のメリットは断熱性が高いことです。

トリプルガラスの断熱効果を「熱貫流率(熱の通しにくさ)」でみると、通常のガラスの約6倍、ペアガラス(複層ガラス)の約1.5~3倍あります。

・ガラスの熱貫流率の比較

ガラス 熱貫流率
普通のガラス 5.7~6.0W/㎡・K
ペアガラス 1.4~3.4W/㎡・K
トリプルガラス 0.9~1.13W/㎡・K

熱貫流率が低ければ低いほど断熱性が高い

②冷暖房効率が上がる(省エネ)

断熱性能の高さは、冷暖房効率アップにもつながります。

冬の寒さだけでなく夏の暑さも防ぎ、ガス代、エアコン代を節約できます。

特に寒冷地では、単版ガラスからトリプルガラスに換えると、下記のように冷暖房費の節約の効果があります。

249,940円(単版ガラス) - 146,828円(トリプルガラス) = 103,112円(年間の暖冷房費の差額)

暖冷房費はこちらのエコガラス省エネシミュレーションで簡単に算出できますので利用してみてください。

③結露が発生しにくい

外気との温度差が生じにくいので結露しにくい、ということもトリプルガラスの大きな魅力です。

サッシを樹脂製のもの、木製のものと組み合わせると、万全の結露対策になります。

④防音効果がある

トリプルガラスには、一定の防音効果あります。

ただし、同じ厚さのガラスを組み合わせると、「共鳴透過」と「コイシデンス効果」により、防音、遮音効果は実感できない場合があります。

・共鳴透過:ガラス同士が共鳴して音を増幅する現象
・コイシデンス効果:高音域の音がガラスを透過する現象(太鼓現象)

このため、防音効果を期待する場合は、ガラスの厚みを変えることをおすすめします。

また、高い防音、遮音が必要な方は、防音ガラスを組み合わせたトリプルガラスを検討しましょう。

防音ガラスの値段や相場については、「防音ガラスの値段や交換料金の相場」をご覧ください。

トリプルガラス(サッシ)の交換費用を徹底解説

トリプルガラスに交換する方法と費用は次の通りです。

方法 費用感

サッシ購入(DIY)

5万~26万円

ガラスの交換(プロに依頼)

7万~32.5万円
(ガラス・サッシ代+工賃)

それぞれご案内していきます。

サッシを購入してDIYで交換する場合の費用

樹脂サッシ込みの価格は次の通りです。

メーカー

大きさなど

価格(サッシ込)

リクシル 寸法(W1540 x H1870mm x T37.3mm)
アルゴンガス
14万円前後
寸法(W1540 x H1870mm x T33.3mm)
クリプトンガス)
17万円前後
三協アルミ 寸法(W2070 x H2000mm x T37.3mm)
アルゴンガス
20万円前後
寸法(W2070 x H2000mm x T33.3mm)
クリプトンガス
26万円前後
エクセルシャノン 寸法(W1650 x H2000mm x T39mm)
アルゴンガス
18万円前後

トリプルガラスの取り付けは難易度が高いため、業者レベルの経験がある人でない限り、DIYは避けた方が無難でしょう。

こちらの「APW430」というメジャーな三重サッシの施工説明書で、DIY難易度の高さを把握できます。

また、単板ガラスやペアガラスから交換する場合、窓周辺からリフォームしなければなりません。

トリプルガラスへの交換をプロに依頼した場合の費用相場

交換方法 費用(90㎝ x 180cm)
ガラス交換 7万円~16.5万円
サッシ交換 16万円~32.5万円

費用はガラス交換もしくはサッシ交換で価格は異なり、工賃だけなら相場は2.5万円~6万円です。

追加で次のような費用が掛かる場合があるので注意が必要です。

発生する可能性のある追加料金

・重量施工費
・夜間・早朝料金
・追加作業員費
・部材費
 など

ガラス交換の際は、悪質業者に騙されないよう、次のようなポイントを踏まえて依頼するようにしましょう。

悪質業者に騙されないためのポイント

・作業前の見積り提示を求める
・見積書が一括表示ではなく、細目ごとの金額が分かるようにしてもらう
・追加料金がかかるケースを事前に説明してもらう
・作業内容、見積内容を理解できるまで説明してもらう

作業後に高額な追加料金を請求する悪質な業者がいるため、気をつけましょう。

 

トリプルガラスの費用対効果を考えよう

トリプルガラス(トリプルサッシ)への交換は、寒さが厳しい地域であれば、断熱、節電の効果は高いと言える一方で、交換費用が高いため、「費用対効果を把握しておきたい」という方もいるのではないでしょうか。

費用対効果を考えるため、次の3つのポイントを押さえておきましょう。

トリプルガラスの費用対効果を算出する3つのポイント

①交換費用の相場を知る
②補助金を利用できるかどうかを知る
③省エネ効果を計算する

①交換費用の相場を知る

「トリプルガラス(サッシ)の交換費用を徹底解説」で紹介したとおり、交換費用の目安を知ることが一番重要です。

高すぎると思った場合には、「トリプルガラス(サッシ)の交換費用を徹底解説」を参考に検討してみてください。

②補助金を利用できるかどうかを知る

補助金を活用できれば、コストを節約することができます。

先進的窓リノベ事業などを上手に活用しましょう。

③省エネ効果を計算する

「どれぐらい省エネできるか」は事前にシミュレーションができます。

計算例は以下のとおりです。

トリプルガラスの費用対効果の計算例

業者から見積もりを取ったところ、トリプルガラスへの交換の総額は約120万円だった。補助金を利用するので、支払金額は2/3の約80万円になる。

暖冷房費をシミュレーションしたところ、トリプルガラスに交換した場合、年間5万円節約できるようなので、おおよそ16年で回収できることが分かった。

冬の寒さが厳しい地域は費用対効果は良くなる傾向があります。

ただ、-5℃程度の寒さの地域は、ペアガラスでも断熱対策は十分かもしれません。

現在が普通の1枚のガラス(単板ガラス)の場合は、ペアガラスに交換した場合の見積もりも取り、費用対効果を比較してみてください。

トリプルガラスのデメリットや寿命・結露に関するまとめ

このページのまとめ

・トリプルガラスに交換する前に4つのデメリットを把握する
・価格が高く、断熱性能には寿命があることを理解する
・結露を絶対的に防ぐものではなく、また内部結露した場合には交換しなければならない
・料金相場を理解し、費用対効果を考慮して交換を計画する

トリプルガラスには4つのデメリットとメリットがあります。

価格は高く、寿命や内部結露といった考慮すべき点があるものの、寒さが厳しい地域では交換を検討する価値があります。

交換する場合は、必ず費用対効果を考慮すると、納得感を得た上で進めることができるでしょう。

  • この記事を書いた人

ガラスお助け本舗編集部

ガラスお助け本舗編集部は、
生活トラブルにおけるガラスの情報を発信する専門チームです。

「ガラスのトラブルを解決したい」という強い思いのもと、
現場で得た知識や経験を活かし、
ガラスの専門家から寄せられた意見も参考にしながら、
読者の皆様にとって本当に役立つコンテンツを目指します。

-ガラスお助けコンテンツ
-, ,