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強化ガラスの強度など3つの特徴や弱点・種類・厚み・値段を解説!

「強化ガラスってどんなときに割れるの?弱点とかある?」
「防犯目的のために窓ガラスを強化ガラスに交換したいけど高いの?」

スマートフォンのガラスや学校の窓ガラス、店の陳列棚など、様々な場所で利用されている強化ガラス。
強化ガラスは何となく「割れづらい」ということは知っていても、詳しいことを知らない方が多いのではないでしょうか。

「割れづらい」という特性はありますが、意図的に割ることは容易いため、防犯目的に不向きであったり、
小口(ガラスの端の部分)からの衝撃に非常に弱いといった、意外な特徴があります。

このページでは、強化ガラスとはどのようなガラスなのか、特徴や弱点、種類、価格などを解説しています。

強化ガラスへの交換をご検討の方は、ぜひ参考にしてください。

強化ガラスとは?特徴や弱点、種類などを解説

強化ガラスとは、普通の板ガラスを約650~700℃まで熱したあと、表面に常温の空気を吹きかけて急速冷却して作られるガラスです。

良く勘違いされるのが、「防犯性能が高いのではないか」という点ですが、実は意図して割ることは難しくはないため、防犯目的には適していません。
防犯目的であれば、合わせガラス(防犯ガラス)を設置するべきです。

強化ガラスは、外部からの衝撃や圧力に強いという「耐久性」と、割れたときにするどい破片ではなく粒状に砕けるという「安全性」が最大の特徴です。

以下、他のガラスとの比較により、どのような特徴があるのか、分かりやすく説明していきます。

強化ガラス・フロートガラス・合わせガラスの比較表

項目

強化ガラス

フロートガラス

合わせガラス

構造

単板(1枚)のガラスを熱処理で強化

単板(1枚)で特殊な処理なし

2枚以上のガラスの間に中間膜を挟んだ構造

強度(耐久性)

通常のガラスの約3.5〜4倍の強度を持つ

衝撃に弱く割れやすい

素材のガラスの強度に依存
割れても中間膜の作用で破片が飛び散らない

割れ方

粒状に砕けてケガをしにくい

鋭利な破片でケガをしやすい

割れても中間膜に貼りつき、飛散しにくい

防犯性

鋭利な金属で叩くと割れる

割れやすく、防犯性は低い

中間膜の特殊フィルムの突破が非常に困難

加工性

ガラスカッターなどで割り切ることは不可能
加工が非常に難しい

切断・加工がしやすい

中間膜の関係で切断・加工が容易とはいえない

強化ガラスとフロートガラスの違い

フロートガラスは一般的なガラスであり、住宅や建築物の窓などに幅広く使用されています。ガラスの原料を高温で溶かし、溶融した錫の上に浮かべて平ら(フロート)に成形する製法から、この名が付けられました。

コストが低く加工がしやすい一方で、割れた際には鋭利な破片が飛び散る危険性があります。

それに対し、強化ガラスは、フロートガラスの3.5倍~4倍程度の強度があり、万一割れた場合でも破片が細かい粒状になるためケガをしにくいという特徴があります。

日常的に負荷がかかる家具や食器、多くの人が出入りする商業施設のショーウィンドウやガラス扉などでは、耐久性が高く、ケガのリスクが低い強化ガラスが採用されるケースがほとんどです。

強化ガラスと合わせガラスの違い

強化ガラスは一般的なガラスと比較して割れにくく、衝撃に対する強さがあります。
ただし、硬い金属で一点を強く叩くと粉々に割れるため、防犯を防止する目的には心許ないといえます。

一方、合わせガラス(防犯ガラス)は、2枚のガラスの間に特殊な樹脂フィルムを挟み込んだ構造をしており、ガラスが破損しても、内部のフィルムの突破が難しいため、侵入を防ぐことができます

また、中間層のフィルムが破片の飛散を防いでくれるため、安全性も強化ガラスより高いと評価できます。

以上のことから、強化ガラスは、安全性を高めた日常的な汎用ガラスとして考えた方がよいでしょう。
防犯機能や、被災時の高い安全性を期待する場合は、合わせガラス(防犯ガラス)がおすすめです。

強化ガラスの弱点・デメリット

これまで、強化ガラスの特徴を、フロートガラス、合わせガラスとの比較で説明してきましたが、
ここでは、強化ガラスの弱点・デメリットについて詳しく解説していきます。

強化ガラスの弱点・デメリット

・防犯対策には不向き
・小口(ガラスの端の部分)の衝撃に非常に弱い
・加工が難しい

防犯対策には不向き

既に説明したとおりですが、簡単に割れてしまうため、強化ガラスは防犯対策に向きません。

強化ガラスが簡単に割れるということが、しっくりこない方が多いため、その仕組みを説明します。

強化ガラスは、熱処理の後で冷風で冷やすという成形工程により作られます。
この工程により、強化ガラスの表層に「圧縮応力」が、内部には圧縮応力に応じた「引張応力」が生まれます。この、表面と内部のバランスにより強化されている理屈です。

要は、ガラスの外と内でテンションがかかった状態であるために強い、というわけなので、硬く尖った金属などで叩くことにより強化ガラスの表面と内部の力のバランスが崩れ、一瞬で粉々になる、ということです。

防犯対策をお考えなら、防犯性に優れた合わせガラス(防犯ガラス)の利用がおすすめです。

小口(ガラスの端の部分)の衝撃に非常に弱い

小口とは、ガラスの端の部分です。
この箇所をハンマーなどで衝撃を加えると、粉々に砕けます。面での衝撃には強いけれど、点での衝撃にめっぽう弱い特性が良く現れている特徴といえます。

大型の強化ガラス設置工事の際などは、立て掛けようと床に触れただけで爆発するような格好で割れることもあり、作業時には最新の注意が必要です。

加工が難しい

製造後の強化ガラスはガラスカッターでサイズ調整することができません。

ガラスのサイズ調整は、ガラスカッターで切れ目を入れてから割り切るのが一般的ですが、
強化ガラスは、割ろうと圧力をかけた瞬間に粉々になってしまいます。

強化ガラスは、テーブルトップなどの用途が使われることが多いため、好みの形やサイズに加工したい方が沢山います。
そのような場合は、ガラスの専門業者にオーダーする必要があります。

強化ガラスの見分け方について

強化ガラスの見分け方は、偏光板を使った「ガラスの四隅を見ると虹色になっているかどうか」という方法があります。
しかし、専門知識が無いと見分けることが難しいかもしれません。

なお、割れた後であれば見分けがつきやすく、粉々になっていれば間違いなく強化ガラスです。
細かい粒状になっているものの、飛び散らない場合は、合わせガラスの可能性が高いでしょう。中間膜に細かい破片が張り付いているような状態です。
大きめの鋭い破片であれば、割れたガラスは一般的なフロートガラスだと考えてください。

強化ガラスはなぜ割れづらい?その仕組みを解説

既に簡単に解説しましたが、強化ガラスのことをより詳しく理解した方のために、構造や割れにくさの秘密を解説します。

強化ガラスは3層構造

・圧縮応力層(表面)
・引張応力層(内部)
・圧縮応力層(表面)

強化ガラスは製造の過程で加熱後に冷却することで、表面は圧縮応力層、内部は引張応力層という違う性質を持った3層構造になっているため、強く、割れにくくなっています。
縮応力と引張応力とは、次のような力のことです。

力の種類 概要
圧縮応力(あっしゅくおうりょく) ガラスを押しつぶす力に対して、ガラス内部に生じる反発力(抵抗力)。冷却終了後に生まれる。
引張応力(ひっぱりおうりょく) ガラスを引っ張る力に対して、ガラス内部に生じる反発力。もともとガラスが持っている。

表面の圧縮応力層の厚みは板厚の6分の1程度で、その力は引張応力の2倍ほどになります。

例えば、ボールが上から落ちてきた時に、ガラスの上下の表面に圧縮応力が生じているため、割れづらいというイメージです。

強化ガラスが割れる意外な原因

強化ガラスが割れる2つの原因

①日常生活の表面の傷の蓄積
②ガラス内部の異物(ごくまれ)

既に解説した、小口への衝撃、固く鋭いものがぶつかるという以外に、強化ガラスが割れる意外な原因があります。

①日常生活の表面の傷の蓄積

日常生活でできた細かい傷が増えることで、強化ガラスでも割れてしまうこともあります。

強化ガラスのコップやグラスが食洗機の中で割れるようなケースがあたります。
強化ガラス製であっても、日常生活で細かい傷が蓄積していき、傷が内部の層(引張応力層)に到達するとバランスが一気に崩れて突然割れてしまうのです。

②ガラス内部の異物

ごくまれに、強化ガラスの製造工程でガラス内部に混入した異物(主に硫化ニッケル)が原因で割れることがあります。

ビルのガラスが「特に何もしていないのに自然に壊れた(自然破壊)」という場合は、この可能性も考えましょう。

ただし、確率は数万分の1です。確率:1,500~3,000トンの出荷量で1枚

参考

セガ・ロジスティクスサービス「強化ガラス取扱に関して

強化ガラスの用途/利用場所

強化ガラスがよく使われている場所

・窓ガラス(公共のビル、学校、商業ビルなど)
・ガラステーブルの天板
・店舗の販売棚、ショーウィンドウ
・スマートフォンの画面など
・食器
・車のガラス

窓ガラス(公共のビル、学校、商業ビルなど)

破片が細かい粒上になるという安全性の高さから、強化ガラスは公共の場によく利用されています。

学校やビルは日常的に多くの人が集まり、災害時は避難所として利用されることもあるため、強化ガラスが適しています。

ガラステーブルの天板

ガラス天板には、強度と安全性が欠かせないため、強化ガラスを採用することが一般的です。
ガラステーブルに物を置くと、表面積が広くなるにつれてたわみやすくなるため、必ず製品の耐荷重を確認しましょう。

また、硬いものを勢いよく置くと割れるおそれがあるため、利用に注意が必要です。

店舗の販売棚、ショーウィンドウ

店舗の販売棚は人が多く触れるため、耐久性と安全性を考慮して強化ガラスが利用されています。

割れにくく手入れが楽、商品が見やすく高級感が出るという点もメリットです。

スマートフォンの画面

使用頻度の高いスマートフォンの画面は強度が求められるため、強化ガラスが利用されています。

このタイプの強化ガラスはケミカル処理による化学強化された強化ガラスです。
ケミカル強化のガラスはスマホの他、コピー機やスキャナーの台、電子レンジのガラスなどにもよく使われます。

食器

強化ガラスは、耐久性が強い特性を活かし、グラスやボウル、皿にも採用されています。

車のガラス

車ではサイドウインドウ、リアウインドウに強化ガラスを使用した合わせガラスが使われています。

1987年(昭和62年)9月以前はフロントガラスにも一枚の強化ガラスが使われていましたが、現在では合わせガラスの使用が義務付けられています。

強化ガラスの値段と交換費用

強化ガラスの値段と交換費用についてご案内していきます。

強化ガラスの価格相場

強化ガラス値段は厚みとサイズで異なるため、以下の価格表を基準にしてください。

厚み 900 x 900mm 900 x 1800mm
4mm 1.5万円~+税 2.5万円~+税
5mm 1.5万円~+税 2.5万円~+税
6mm 2.1万円~+税 3.4万円~+税
8mm 4万円~+税 6.5万円~+税
10mm 5万円~+税 8万円~+税
12mm 6万円~+税 9.7万円~+税
15mm 9.8万円~+税 16万円~+税

900 x 900mmは自宅の各部屋の腰高窓(こしだかまど)、 900 x 1800mmはリビングの掃き出し窓のサイズです。

また、フロートガラスと強化ガラスの価格差は以下のように約1.5倍程度開きがあります。

サイズ フロートガラスの値段  強化ガラスの値段
900mm x 900mm x 5mm 1.0万円~+税 1.5万円~+税
900mm x 900mm x 10mm 3万円~+税 5万円~+税

強化ガラスの交換をプロに依頼した場合の費用

ガラスの専門業者に強化ガラスへの交換を依頼する場合は、上記の価格表の金額に加えて、施工費・処分費がかかります。

サイズ900mm x 900mm x 5㎜の場合の強化ガラスの費用相場は以下の通りとなるので、参考にしてください。

項目 金額
ガラス代 15,000円~+税
施工費 4,000円~+税
処分費 5,000円~+税
合計 24,000円~+税

目安として、先ほどの強化ガラスの値段表の価格に1.0万円~+税を追加した金額と想定しておきましょう。

強化ガラスのまとめ

このページのまとめ

・強化ガラスは耐久性が高いが、小口への衝撃や硬い金属の一点への負荷などに弱い
・強化ガラスが割れる粉々に粉砕する
・意図的に割ることは容易であるため、防犯目的であれば合わせガラス(防犯ガラス)を使うべき
・プロに交換を依頼するときは材料費+1万円前後を考えておく

強化ガラスは耐久性が高く、割れた破片が細かく安全性が確保されるため、店舗のショウウィンドウ、ガラス天板、スマートフォンの画面などさまざまな場所で利用されています。

ただし、強化ガラスは一点にかかる力には弱く、防犯対策としては使えないので注意が必要です。

今回ご紹介した費用相場などを参考に、強化ガラスへの交換を検討中の方は、ガラスの専門業者に問い合わせてみましょう。

  • この記事を書いた人

ガラスお助け本舗編集部

ガラスお助け本舗編集部は、
生活トラブルにおけるガラスの情報を発信する専門チームです。

「ガラスのトラブルを解決したい」という強い思いのもと、
現場で得た知識や経験を活かし、
ガラスの専門家から寄せられた意見も参考にしながら、
読者の皆様にとって本当に役立つコンテンツを目指します。

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