台風のニュースが流れるたび、「うちの窓は大丈夫かしら…」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。
強風で何かが飛んできて窓が割れたら、と考えると心配になるかもしれません。
この記事では、台風が来る直前にご家庭で手軽にできる対策から、長期的に安心して過ごすための本格的な窓の強化方法まで、幅広く解説します。
正しい知識を身につけ、ご自身とご家族の安全を守るための万全な備えを始めましょう。
目次
なぜ窓ガラスの台風対策が必要なのか

近年、台風は大型化する傾向にあり、窓ガラスへの対策はこれまで以上に重要性を増しています。
気象庁のデータを見ても、日本に接近する台風の勢力は強まっていることがわかります。
参考:気象庁データ
台風の際には、猛烈な風圧そのものに加え、風によって飛ばされた看板や瓦、庭の植木鉢といった「飛来物」が窓ガラスを直撃する危険が非常に高まります。
万が一ガラスが割れてしまうと、室内に強風や雨が吹き込み、家財が水浸しになるだけでなく、割れたガラスの破片で大怪我をする二次被害にも繋がりかねません。
こうした台風による被害を防ぎ、家族の安全を守るためにも、事前の窓ガラス対策が不可欠といえるでしょう。
台風直前にできる窓ガラス対策

台風の接近が予報されてからでも、身近なもので実践できる窓ガラス対策があります。
これから紹介する方法は、あくまでも本格的な対策が間に合わない場合の応急処置という位置づけです。
しかし、「何もしない」よりは被害を軽減できる可能性があります。
ここでは、予算や手間を比較しながら、3つの手軽な窓ガラス対策について、その効果と方法を詳しく見ていきましょう。
| 対策名 | 予算 | 効果 | 
| 養生テープやガムテープを貼る | 低 | 低 | 
| 段ボールを貼る | 低 | 中 | 
| 飛散防止フィルムを貼る | 中 | 中 | 
養生テープやガムテープを貼る
台風対策として、窓ガラスの内側にテープを米印や格子状に貼る方法がよく知られています。
この対策の最も重要な目的は、ガラスが割れた際に、破片が室内外に飛び散るのを少しでも抑制することです。

大きな破片がまとまって剥がれ落ちるようになるため、何もしない状態に比べて怪我のリスクを多少は軽減する効果が期待できます。
しかし、これは絶対に理解しておくべき重要なポイントですが、テープを貼ってもガラス自体の強度は上がりません。
そのため、強風による風圧や飛来物の衝撃でガラスが割れることを防ぐ効果は、残念ながらほとんど期待できないのです。
あくまで「飛散防止」のための気休め程度の応急処置と捉えましょう。
ガムテープは粘着力が強く剥がす際に跡が残りやすいため、もし実践するのであれば、剥がしやすい養生テープを使用するのがおすすめです。
段ボールを貼る
ダンボールを窓の内側と外側に貼り付ける効果<br />
- 外部の飛来物からガラスを守る
- ガラスが割れた時の室内への飛散を防ぐ
家にある段ボールを窓の内側と外側に貼り付けるのも、手軽にできる対策の一つです。
この方法は、養生テープのみの場合と比べて、2つの効果が期待できます。
一つは、段ボールがクッションの役割を果たし、小石や木の枝といった比較的小さな飛来物からガラスを守る効果。
もう一つは、万が一ガラスが割れてしまった場合に、段ボールが破片を受け止め、室内への飛散をある程度防ぐ効果です。
貼り付ける際は、窓ガラス全体を隙間なく覆うように段ボールをカットし、ガムテープなどで窓枠にしっかりと固定してください。
ただし、瓦や看板のような大きく重い飛来物に対しては、ほとんど無力であることも覚えておく必要があります。
飛散防止フィルムを貼る
ホームセンターなどで市販されている飛散防止フィルムを貼り付ける方法は、テープや段ボールよりも高い効果が見込めます。
このフィルムは、ガラスの表面に強力に密着します。
そのため、衝撃でガラスが割れても、破片がフィルムに付着したままの状態を保ち、バラバラに飛び散るのを防ぐ効果が非常に高いのです。
割れたガラスによる怪我のリスクを大幅に低減し、安全な避難経路を確保することに繋がります。
ただし、このフィルムもガラスの強度を上げるものではないため、ガラスが割れること自体を防ぐわけではありません。
また、台風が迫っている中で、気泡なくきれいに貼り付けるのは時間と手間がかかります。
できれば、台風シーズンが来る前に、あらかじめ準備として貼っておくのが理想的な対策といえるでしょう。
台風の前にできる恒久的な台風対策

台風の前にできる恒久的な対策としては、以下のようなものがあります。
- 窓シャッターや雨戸を閉める
- 窓シャッターや雨戸を後付けする
- 防災安全合わせガラスに交換する
 
それぞれの効果や費用感を解説します。
窓シャッターや雨戸を閉める
もしご自宅に窓シャッターや雨戸がすでに設置されているなら、窓シャッターや雨戸を閉めるのが最も手軽で効果的な台風対策になります。
シャッターや雨戸をしっかりと閉めてロックをかけることで、窓ガラスを物理的に保護することが可能です。
これにより、猛烈な風圧が直接ガラスにかかるのを防ぎ、飛来物が衝突してもシャッターや雨戸が盾となってくれるのです。
台風が接近する前に、必ず全てのシャッターや雨戸を閉める習慣をつけましょう。
その際、スムーズに開閉できるか、ガタつきや破損がないかを事前に点検しておくことも大切です。
普段使っていないと、いざという時に動かない可能性もあります。
この単純な作業だけで、窓ガラスの破損リスクを劇的に下げることができますから、台風対策の基本中の基本として徹底することが重要です。
窓シャッターや雨戸を後付けする
現在シャッターや雨戸がないご家庭でも、後付けで設置することが可能です。
これは、窓の防災性能を飛躍的に向上させる、非常に有効な恒久対策となります。
専門の業者による工事が必要になりますが、一度設置してしまえば、台風の予報が出てもシャッターを閉めるだけで万全の備えが完了する安心感は計り知れません。
費用は窓の大きさや種類によって変動しますが、一般的な掃き出し窓の場合、手動タイプで10〜21万円、リモコンなどで開閉できる電動タイプで19〜35万円程度が目安です。
費用はかさみますが、台風対策だけでなく、日々の防犯性能の向上や、遮光・遮音といった副次的な効果も期待できます。
長期的な視点で見れば、非常に価値のある投資といえるでしょう。
防災安全合わせガラスに交換する

シャッターや雨戸の設置が難しい場合や、閉めた際の圧迫感が苦手な方におすすめなのが、窓ガラスそのものを交換する方法です。
特に防災安全合わせガラスは、台風対策に非常に高い効果を発揮します。
このガラスは、2枚のガラスの間に強靭な特殊フィルムを挟み込んだ構造をしています。
この特殊フィルムのおかげで、万が一飛来物が衝突しても、ガラスにヒビは入るものの、フィルムが突き破られにくく、破片もほとんど飛び散りません。

引用元:板硝子協会
シャッターのように閉め忘れる心配がなく、日常の景観を損なわない点も大きなメリットです。
費用は高額になりますが、防犯性やUVカット効果も向上するため、総合的な窓のアップグレードとして検討する価値があります。
効果的な窓ガラスの強化方法

窓ガラスを強化する方法は、予算、どこまでの安全性を求めるかなどによって、最適な選択肢は変わってきます。
DIYで手軽にできるものから、専門業者に依頼する本格的なリフォームまで、それぞれの特徴を理解し、ご家庭に合った強化方法を見つけていきましょう。
飛散防止フィルムの貼り付け
窓ガラスの強化方法として、最も手軽に導入できるのが飛散防止フィルムの貼り付けです。
この対策の最大の利点は、万が一ガラスが割れてしまった際に、破片が広範囲に飛び散るのを防ぐ点にあります。
これにより、室内にいる家族が怪我をするリスクを大幅に減らし、安全な避難経路を確保することに繋がります。
最近では、飛散防止機能に加えて、紫外線をカットする機能や、室内の温度上昇を抑える遮熱・断熱機能が付いた高機能な製品も多く販売されています。
導入コストは比較的安価で、DIYで行う場合は1㎡あたり2,000〜4,000円程度で購入できます。
一方、専門業者に依頼する場合は施工費込みで1㎡あたり5,000〜10,000円ほどが相場です。
台風対策としての効果は「中程度」で、ガラスの飛散や二次被害を防ぐのに有効ですが、強風や飛来物によるガラスそのものの破損を完全に防ぐものではありません。
DIYでも十分に施工可能ですが、広い窓面や高所の作業ではムラや気泡が入りやすいため、仕上がりと耐久性を重視するなら専門業者に依頼するのが安心です。
強化ガラスや合わせガラスへの交換
より根本的な対策として、ガラス自体を強度の高いものに交換する方法があります。
台風対策で特におすすめなのが、強化ガラス、合わせガラス、防災安全合わせガラスなどです。
特に防災安全合わせガラスは、強風による風圧や飛来物の衝撃に対して非常に高い耐久性を誇ります。
シャッターや雨戸と違い、ガラス自体が強度を持っているため、閉め忘れる心配がなく、24時間365日、常に窓の安全性が保たれるのが大きなメリットです。
また、特殊フィルムが挟まっていることで、空き巣などの侵入を防ぐ防犯性の向上や、断熱・遮音性の向上といった副次的な効果も期待できます。
初期費用は高額になりますが、一度交換すれば長期的に高い安全性を確保できる、非常に信頼性の高い強化方法です。
外付けの防風パネルや雨戸設置
窓の外側から物理的に保護する雨戸やシャッター、防風パネルの設置は、最も効果の高い強化方法と言えるでしょう。
窓全体を頑丈なパネルで覆うことで、飛来物がガラスに到達するのを完全に防ぎ、強烈な風圧からも窓を守ります。
設置されている住宅は少ないかもしれませんが、最近では既存の窓に後付けできる製品も数多く販売されています。
工事を伴う本格的なシャッターだけでなく、台風の時だけ取り付ける簡易的なパネルタイプも存在します。
中には、建物を傷つけずに設置できる製品もあり、賃貸住宅にお住まいの方でも導入を検討できる場合があります。
物理的に窓をガードする安心感は、他のどの方法よりも高いといえるかもしれません。
台風前に準備しておくべきこと

台風前には、以下のように準備しておくべきことがあります。
- 窓とサッシの点検
- 避難経路と安全スペースの確保
- 防災用品の準備
 
直前になって焦らないよう、余裕を持って準備しておきましょう。
窓とサッシの点検
いくら窓ガラスを強化しても、それを支える窓枠(サッシ)が劣化していては意味がありません。
台風前には、家中の窓を実際に開け閉めして、ガタつきや歪みがないか、鍵はしっかりと掛かるかを確認しましょう。
特に注意したいのが、ガラスとサッシの間にあるゴムパッキンや、壁と窓枠の隙間を埋めるシーリング材です。
これらが経年劣化でひび割れていたり、痩せていたりすると、そこから強風や雨水が侵入する原因となります。
小さな隙間でも、台風の猛烈な風雨の前では大きな被害につながりかねません。
もし劣化が見られる場合は、ホームセンターで手に入る補修材で補強するなど、早めに対処しておくことが大切です。
避難経路と安全スペースの確保
万が一、窓ガラスが割れてしまった場合のことを想定し、家族が安全に避難できる計画を立てておくことは極めて重要です。
まず、家の中で「安全スペース」を決めましょう。
窓がなく、家の中心に近い廊下やトイレ、収納スペースなどが安全スペースに適しています。
次に、各部屋からその安全スペースまでの避行経路を確認し、通路に物を置かないように整理整頓しておきます。
停電で暗闇になる可能性も考え、懐中電灯をすぐに手に取れる場所に置いておくことも忘れてはいけません。
そして最も大切なのは、この計画を家族全員で共有しておくことです。
「もし窓が割れたら、あの部屋に集まろう」という共通認識があるだけで、パニックにならず、迅速かつ安全に行動することができます。
防災用品の準備
- 台風の前に準備しておきたいもの - 水
- 保存食
- 安全靴
- 懐中電灯、ランタン
- モバイルバッテリー
 
台風の影響は、暴風雨だけでなく、停電や断水といったライフラインの寸断に及ぶことも少なくありません。
そのため、防災用品を日頃から準備し、台風前には必ず中身を再チェックすることが必要です。
最低限備えておきたいものとして、水や保存食、安全靴、停電に備えた懐中電灯やランタン、そしてスマホでの情報収集や連絡手段の確保に不可欠なモバイルバッテリーがあります。
スマートフォンのモバイルバッテリーは必ず満充電にしておきましょう。
また、ガラスの破片などで怪我をした際の応急処置ができる救急セットも必須です。
さらに、断水や外出困難に備え、飲料水や非常食を最低でも3日分、できれば1週間分程度は備蓄しておくと安心感が格段に高まります。
窓ガラスが台風で割れてしまった場合の対処法

窓ガラスが台風で割れてしまった場合の対処法
- 安全確保と避難
- 応急処置
- 業者への連絡と修理依頼
事前の対策を万全にしていても、想定を超える強さの台風によって窓ガラスが割れてしまう可能性はゼロではありません。
もし実際にそのような事態に遭遇してしまったら、まず冷静に行動することが大切です。
パニックにならず、これから解説する手順に沿って、安全を最優先に行動してください。
安全確保と避難
窓ガラスが割れる大きな音がしたら、まず身の安全を確保することが最優先です。
すぐにガラスの破片が届かない場所へ移動し、事前に決めておいた窓のない部屋や家の中心部といった安全スペースへ避難してください。
この時、絶対に素足で歩き回ったり、割れたガラスの破片に素手で触れたりしてはいけません。
暗い場合は、スマートフォンのライトや懐中電灯で足元を照らし、厚手のスリッパや靴を履いてから移動しましょう。
小さなお子さんやペットがいるご家庭では、抱きかかえるなどして、破片で怪我をさせないよう注意を払う必要があります。
風雨が収まるまでは、決して割れた窓に近づかないでください。
応急処置
暴風雨が過ぎ去り、身の安全が確保できる状況になったら、割れた窓の応急処置を行います。
作業をする際は、必ず厚手の手袋と底の厚い靴を着用し、肌の露出が少ない服装を心がけてください。
まず、散らばったガラスの破片を、大きなものから順にほうきとちりとりで集め、段ボール箱などに入れて安全に処理します。
掃除機を使うと内部でガラス片が飛散し故障の原因になるため避けましょう。

次に、窓に空いた大きな穴を塞ぎます。
室内側から、窓より大きいサイズの段ボールやベニヤ板を当て、ガムテープで窓枠にしっかりと固定します。

これにより、雨風の吹き込みや虫の侵入を一時的に防ぐことができます。
業者への修理依頼と保険申請の検討
応急処置が済んだら、修理のためにガラスの専門業者へ連絡します。
業者に修理をお願いする際には、被害状況を写真で記録しておきましょう。
窓ガラスの破損は、台風や雹などの自然災害や盗難被害などの原因によっては火災保険が適用される場合があります。
修理を依頼する前に保険内容を確認し、必要に応じて保険申請に対応できる業者へ相談すると安心です。
台風の後は依頼が殺到して繋がりにくい場合があるため、複数の業者の連絡先を事前にリストアップしておくとスムーズです。
同時に、ご自身が加入している火災保険の会社にも速やかに連絡し、被害の報告と今後の手続きについて指示を仰ぎましょう。
まとめ
台風による窓ガラスの破損は、家財への被害はもちろん、ご家族の安全を脅かす重大なリスクです。
今回ご紹介したように、テープや段ボールを使った簡易的な対策から、シャッターの設置や防災ガラスへの交換といった長期的な強化策まで、対策には様々な選択肢があります。
最も重要なのは、これらの対策を一つだけでなく、状況に応じて組み合わせること。
そして、日頃から窓やサッシの点検を行い、防災用品を準備しておくといった「事前の備え」を怠らないことです。
この記事を参考に、ご自宅の台風対策を見直し、ご自身と大切なご家族の命と財産を守るための行動を今日から始めてみてください。
 
                             
		
	







